僕の小さなロウソク

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看護師が、診察室から次の患者を呼ぶために顔を出すのだが、いつまで経っても僕の名前は呼ばれなかった。 4回目の偏頭痛の勉強をしようと、腰を上げてパンフレットを取りに行こうとすると、診察室のドアが開き、 「有村さん。」 一瞬、名前を呼ばれたのに気づかなかったが、 「あ、はい・・・」 と、僕は間のぬけた返事をした。 「中へどうぞ。」 看護師に案内され、心療内科と書かれた診察室の中へ。 中には40代くらいの、短髪で、白髪まじりの男性の医者が椅子に座っていた。 「こんにちは。」 背もたれのない、丸い椅子に座る前に、その医者は挨拶してきた。
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