僕の小さなロウソク

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「今日はどうされました?」 僕が椅子に座り、挨拶を返そうとする前に、その医者は質問してきた。 僕は少し間を置いてから答えた。 「はい、色々ありまして・・・最近、眠れないもので・・」 それから僕は、次に何を話そうか頭の中で整理していたつもりだったが、次の言葉が出てこなかった。 僕の心臓の鼓動を刻む音が、壁に掛けてある銀縁の時計の、カチカチという時を刻む音を追い越していくのがよくわかった。 いったいどのくらい経っただろうか。 医者が口を開いた。 「もしよろしかったら、その色々というものをお聞かせ願えませんか。」 銀縁の時計に視線をうつし、少し考えていた。14時35分を、針が指していた。
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