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「有村君、ちょっとよかか。」
肌寒い初冬のある日、いつものように配達先に向かうため、野菜をトラックに積み込む作業をしていたところ、工場長に呼ばれた。
仕事を中断し、連れられて工場長のオフィスに入った。
飾り気のない、何度見ても地味な部屋だった。
「そこに座って。」
真っ黒の椅子に座った工場長に言われるまま、向かいの椅子に腰を下ろした。
「話なんやけど。」
「はい。」
「ごぼうの第二農場、君に任せたいんよ。来年からは、量、増やさんといかんし、取引先のマネージャーかなんかが視察に来るから、俺は第一農場、綺麗にしとくのに精一杯やから。」
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