家族

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「みんなー!近藤さんが来てくれたわよー!」  院長の言葉に、思い思いの行動をしていた子供達が「わー」と声をあげ院長に群がる。  幼少の子供達の目当ては、夫妻よりも夫妻が持ってきた袋一杯の玩具や衣服だ。  これは僕のだー、とあがった声に周りからずるーいと重なる非難。  それを見た他の先生が「喧嘩しないの!」と叱る様子を、夫妻はほほえましそうに見つめていた。  と、その時。 (――っ!?)  輝は突然、寒気を感じた。  寒気を感じた方に顔を向けると、そこにいたのは一人の少年。  小学低学年と思われるその少年は、少々線は細いが、一見普通の子供に見える。  しかし―― (なんて目だ……)  輝はその少年の目を見て、息をのんだ。  見ているだけで寒気を覚えるような冷たく、鋭い目。少年が輝を睨むその目は、彼のような年代の少年がしていいものでは、決してなかった。 「輝さん……」  輝と同じように少年の視線に気づいた雫が、少年に視線を向けたまま輝の腕に触れる。  雫が戸惑っているのを、輝は感じた。
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