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二人の視線を受け、少年は彼らに向かい歩き出す。
冷たい瞳の少年。しかし、同時にとても美しい少年であることを、彼が近づいてくるにつれ、輝達は知った。
その美しい少年は、輝達の前で歩みを止め、彼らを見上げながら口を開く。
「満足か?」
少年の口から発せられる子供らしい幼い声。しかしその内容は全く子供らしくなかった。
「弱いものに施しをして強者ぶって。そうやって自分は特別だと悦に浸って、さぞかし満足だろうな」
「き、君……」
「偽善者が」
輝の呟きを無視し、少年はそう吐き捨て彼らを睨む。
そんな少年の行動に気づいた院長が、慌てて声をあげる。
「こ、こら!海君!なにしてるの!?」
院長の声に少年は彼女の方をちらりと見やり、ふん、と鼻を鳴らし去って行った。
「ごめんなさい近藤さん……。あの子が失礼を……」
頭を下げる院長。そんな彼女に雫は問う。
「あの、先生。あの子は……?」
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