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しかし、彼らは二人共思う。幼い子供に、あんな目をさせていてはいけない、と。
(この世界には悲しみと絶望しかないなどと、子供に思わせていいわけがない!)
輝はそう、強く思った。
輝と雫はどちらからともなく見つめ合い、そして同時に頷く。そのまま院長に顔を向け、輝は口を開いた。
「院長先生。ご迷惑でなければ、彼を、海君を、私達で引き取りたいのですが」
「え!?海君を、ですか?」
驚きの声をあげる院長。彼女に雫は優しい微笑みを向ける。
「私達は彼に優しさと幸せを教えてあげたいんです。今の世界には、確かに、悲しさや絶望が多く渦巻いています。けど、それだけじゃない。優しさと幸せが存在することを、彼に教えてあげたいんです」
「……」
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