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『別れてくれないか』
食器が片付けられ、綺麗になったテーブルで手を組みながら夫は切り出した。
突然の事で妻は動揺しながらも、額に手を当てながら、どうしてと問い詰めようと口を開く前に夫の言葉がそれを遮る。
『俺、浮気してるんだ』
ホンのちょっとの情事、妻に対して不満があった訳ではなく、ただただ生殖本能が先行し、いつしか着いてしまった火が、ただただ消えてはくれなかった。
深夜を過ぎる話し合い、いつしか時計の針は早朝を示し、空が白んだ。
確か妻の最後の言葉はこんなだったと思う。
『何も結婚記念日に言わなくても良かったじゃない』
そして、俺は妻と離婚した。
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