2臭 目覚め

2/6
前へ
/33ページ
次へ
『ん~~。かゆいっ。』 その日の朝、俺は足のかゆさで目を覚ました。 『かぃ~~!』 両足が物凄くかゆい。両足を両手でひたすらかいた。 『やべぇ。めっちゃかゆい!』 無我夢中で足をかきむしる中、何か嫌な予感を感じ、ふと時計を見る。すでに七時半をまわっていた。 『うぉっ!もうこんな時間だ!』 その瞬間足のかゆみは消え、すでに体は鏡の前に向かっていた。 『くそっ、しょうがない。これくらいでいいか。』 左耳の上のピンとはねた髪を撫でつけながら制服に手をのばした。 『あら~、やっと起きたのね。朝ご飯は?どうするの?』 リビングには呑気にテレビを見ながらお茶を呑む母がいた。 『何で起こさなかったんだよ!食ってる暇なんかないよ!』 八つ当たりだと分かっていても苛立ちを隠せない。 『何回も起こしたわよ。何そんなに怒ってるの。』 困惑の表情を浮かべている母を横目に、相手をする時間すら勿体無いことに気づき、急いで玄関の戸を開けた。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加