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『ん~~。かゆいっ。』
その日の朝、俺は足のかゆさで目を覚ました。
『かぃ~~!』
両足が物凄くかゆい。両足を両手でひたすらかいた。
『やべぇ。めっちゃかゆい!』
無我夢中で足をかきむしる中、何か嫌な予感を感じ、ふと時計を見る。すでに七時半をまわっていた。
『うぉっ!もうこんな時間だ!』
その瞬間足のかゆみは消え、すでに体は鏡の前に向かっていた。
『くそっ、しょうがない。これくらいでいいか。』
左耳の上のピンとはねた髪を撫でつけながら制服に手をのばした。
『あら~、やっと起きたのね。朝ご飯は?どうするの?』
リビングには呑気にテレビを見ながらお茶を呑む母がいた。
『何で起こさなかったんだよ!食ってる暇なんかないよ!』
八つ当たりだと分かっていても苛立ちを隠せない。
『何回も起こしたわよ。何そんなに怒ってるの。』
困惑の表情を浮かべている母を横目に、相手をする時間すら勿体無いことに気づき、急いで玄関の戸を開けた。
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