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私は左の首筋に手をあてる。
姫君は、いきなり真剣にそんなことを聞くから私は少し胸が高鳴った。
友雅が手をあてたところに私は手を伸ばす。
温かくふんわりとした髪に触れながら、私の手はその場所に触れる。
姫君の手が触れたところの痛みが消えた。
さっきまでの痛みが嘘のように。
友雅からは、まだ陰の気が感じられる。
まだ・・・ある、どこ?
「首、大丈夫ですか?痛みひきました?」
「あぁ、楽になったよ。」
君の瞳は私を見ている。
でも、一体今・・・君は何を見ているのだ?
瞳が違う。
私は、友雅にある呪詛を探した。
でも、どこにもなくて、さっき呪詛を払った手を見る。
これは・・・紅・・・。
私の手には赤い紅がついていた。
じゃあ・・・口に・・・。
あった。
紅・・・。
口紅が呪詛の元だと思った。
陰の気、陽の気は、蝶の形をとることもある。
そして、友雅の口についている紅を見ると私と違う模様の黒い蝶が見えた。
もしかしたら、友雅の命に関わるかもしれない。
なら、早くこの口紅をとらないとと思った。
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