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「あの~失礼ですが、自殺される方ですか?」
のんびりとした声が聞こえた。
「私(わたくし)、みちづれ屋と申します。」
体を捻ってみると、黒く腰まである長い髪でキャリアウーマン風の女性が立っていた。
「…みちづれ屋?」
「はい!私(わたくし)どもは安心の自殺ライフを支えるべく自殺のお手伝いをしております。」
自殺してライフなんて無いだろうと思うのだが。
「遺書のご用意は、お済みでしょうか?人に見られて困る物の処分は?最後に家族と話した内容は満足のいくものでしたか?」
徒然にビルの屋上に来て何もかも嫌になり死のうとしているのだ準備などしていない。
そういわれると不安になる。
「当社ではそのような作業の代行をしております。」
「いくらですか?」
「初回ですので特別料金で十万円になります。」
自殺に初回もへったくれもあるものか
「もうちょっと安くはならなりませんか?」
「でしたら一度こちらに来ていただいてサービス内容の方を説明させていただければと。」
「…もしかして、新手の説得ですか?」
「まさか、そんな事をしたらわが社の経営が首をつる羽目になりますわ。」
ジョークめかしながら彼女は言った。
不思議と納得した、私は屋上の床に一度戻る事にした。
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