一、桜井 頼長

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天文10年(1541)年 信濃国 伊那郡 猪井城 ここで二人の男が将棋を指しながら何やらブツブツと小言のように語っていた。 「ほほう…ほうほう……諏訪と武田がこちらに攻めてくる……か」 盤上をじっと見つめ口元を手で覆い隠しながら話す男は、桜井家当主「桜井頼長」である。 この時、頼長の耳にアル情報が入った。甲斐一国を治める大名「武田信虎」と信濃上原城を治める大名「諏訪頼重」が頼長のいる伊那郡に攻めいるとの話であった。 「で、どうすればよいかのぉ?」 イタズラっぽく訪ねる頼長 「どう、と言われますのは 将棋ですかな?それとも……」 頼長の対面に座り話をしているのは「安倍信実」 信濃国伊那郡において敵うものなしと讃えられる桜井家きっての猛将、誇り高き先駆け武将であった。 「ならば、後者じゃ。」 後者と言うのは恐らく諏訪、武田の動向についてだと考え信実は答える 「攻めてくるのであらば間違いなく目当ては高遠にございましょうな。ですので御守りするべきかと」 「ほうほう、守ると申すと??」 信実の言葉にまたもイタズラっぽく返事をする頼長。そんな主君のとぼけはに馴れているのか信実は言葉を続ける。 「高遠城、城主。高遠頼継様をに御座いまする。」 「ふむ、それは何故かね?」 「我らが主君に御座いますので」
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