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「盛光!盛光!まだか!?頼長はまだ来ぬか!?」
かん高い声をあげながら家臣を急かす男は高遠頼継、南信濃高遠城城主である。
「殿、落ち着いてくだされ。直に参られます。あと、爪を噛むのはお止めください。はしたのう御座います」
頼継を諭すように諌めるのは今永盛光、外交面で無くてはならない存在であった。
有事の際に慌てる頼継を諭し落ち着かせるのは盛光の役目であり、周りからすれば至極見慣れた光景だった。
しかし此度ばかりは少し厄介な状況にあった。もともと敵の多い高遠家ではあったが諏訪家にとって高遠家は庶流、さらに頼継の正室は先代諏訪家当主、諏訪頼満の娘だった。
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