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「それで?何かあったのですか?」
「いえ……今はまだなにもありませんが、レインが姫様の事を褒めていました。それを伝えに来ただけです」
私がレインに誉められた?
なんでだろう……
私を気に入ってもらったのは自覚してる(と、いうより本人が言っていた)けどわざわざリンクに伝わるほどレインに何かをしたわけではないはず。
それどころか、私は彼の前で“ルージュ姫”を演じきる事ができなかった。
……思い返すと、許されない恥だわ。
誉められたっていうのも冷やかしかしら?
そんな人には見えなかったけど。
「姫様?どうして考えこまれてしまうのですか?」
リンクが訝しげに俯いた私をのぞきこんだ。
「い、いえ……なんでもありませんの……連絡ありがとうございます。レイン様によろしくお伝えください」
「はい、では失礼いたします」
――パタンッ
リンクの靴音が遠ざかって行った。
「レイン様……」
不思議な人だわ。
考えが読めない。
私もまだまだ外交や取引を行うには眼力を鍛えなくてはだめね。
さて、余計な事は忘れて書類整理しなくては。
先ほどリンクが置いていった紙の束に目を遠しハンコをおす。
機械的な作業に飽き飽きするけど、きちんと読まないと国民たちの生活や納税などを守らないといけないから。
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