二章 ルージュ旅に出る

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さて、そんなこんなで慌ただしく始まった会議は何事もないまますぎていく。 レインもそれ以来黙ったまま辺りを見回している。 そんな彼が何のために現れたのか理解できない狸……大臣たちは落ち着かないようでソワソワしている。 「……これにて、本日の議題は終わり「ナポリ大臣閣下!私から一つ提案がある!」……なんだね?レイン殿……」 またも、ナポリ大臣の話を遮りレインが声を上げた。 いよいよ……か。 「我らが美しき女王陛下ルージュ様について彼女とこの国のために、私は彼女を旅に出すことを進める!!」 「……は?」 大臣達の腑抜けた顔と声にレインはバカにした笑いを隠しきれずに顔をヒクヒクとさせている。 幸い大臣達は思わぬ発案にどう肥腹を満たすかを考えているのか気付いている様子はない。 さて……どんな答えを出すかは見当がついているのですがね。 大方、今は上手い言い方を考えているってところですかね。 「ワシは良いと考えるが諸君はどうだね?」 ナポリ大臣の声に他の大臣達が口々に賛成をする。 「賛成多数のようだが……どうかな?リンク騎士団長殿?」 きた。 ここで僕が賛成すれば決まり……でもより確実性を出すのなら… 「私は反対です。我が国唯一の王家の血を引く姫を旅に出すなど…危険極まりない!!」 妥当な反論だと想いますがどうでしょう… レインとの計画を露見させるわけにはいかない。 あくまでもいつもどうり… 「グ……確かに危険性はある。だが我が国の繁栄と何より姫様の君主としての実力を着けるためには最善ではないか?」 ズル賢い男だ。 こういう時ばかり頭の回転が早い。 「しかし姫様の安全を第一に!!」 「それに関してはこの私レインがともに旅をするから安心してくれるかな、リンク騎士団長殿」 僕の反論にすかさずレインの弁解が入った。 「それならば…賛成しましょう」 渋々というように切り出せば、大臣達の隠しきれない笑みで会議室はにやけた笑いに満ちる。 「ならば早急に準備を進めるように。以上で本日の議会を終わる!!」 無事に…… 終わったか。 レインは来たとき同様に勢いよく立ち上がると部屋を出ていった。 僕も行きますか。 ,
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