一章 ルージュ舞踏会にて

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『本日は、私のために集まってくれてありがとうございます。我が国ルノールの繁栄と皆さまの健康を祈って……』 はぁ…… マイクスピーチは本当に疲れるわ。 黄金に輝くシャンデリアも絶え間なく奏でられる音楽も着飾った貴族達も私を憂鬱にさせる。 今夜の舞踏会は、私の夫を探すための顔見せもかねているから…。 先程から張り付かせた笑顔をキープするための筋肉がピクピクと限界を訴えている。 早く終わらないかなー… コルセットキツいし… 何より、 「ルージュ様、僕の話を聞いてください先日………」 「ルージュ様そんな事より僕が仕留めた熊の話を………」 「ルージュ様本日も美しいです」 ルージュ様 ルージュ様 ルージュ様………… こいつら鬱陶しi……コホンッ だいたい、私はどこかの偉人じゃないんだからこんなに大勢の話を一度に聞けるわけないでしょ。 なんて事を口にしたら王家の恥なので、 「まぁ! そうなんですの。素晴らしいですわね。なんて勇ましい……」 適当に相槌をうっておく。 適当にいっていても、どれかには当てはまるから考えなくてもいいてん楽だ。 にしても……… なんで貴族の息子達って揃いも揃って並み以下なんだろう? ちょっとでも顔のいい人はみんな遊び人だし。 ろくなのいないわ。
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