一章 ルージュ舞踏会にて

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今……なんて? 「な、にをおっしゃっているのですか……?」 声が、瞳が揺れる。 「そんなに驚かなくてもいいだろ?俺に不可能はない、デカイ箱に閉じ込められた小鳥の1羽くらい盗み出してやるよ」 ニッと八重歯を除かせて笑うレインに言葉がでない。 ――逃げ出したい 自由になりたい…… ――お城は? この国はどうするの…… ――お城なんていらない 国だって大臣達が勝手に操る ――国民は? 哀れな我が民達を見捨てて自由になるの? ――民はもうすぐこの国を裏切る 革命がおこる 「姫様?」 「………私は…私は民を捨てられない、お城も大臣達も私を縛るこの忌々しい髪も大っ嫌い…でも民を捨てるわけにはいかないわ、彼らが革命を起こすならそれを達成させるために私の首をさしだすわ、私は逃げられない……」 「…民なんて捨てて遠くへ逃げればいい」 レインが小さな声で呟いた。 「いいえ…できないわ、私はルージュ、ルノール王国第一王女ルージュだから。私はこの国の民を見守らなくてはならない……民がいなければ我が国は生きられない、民こそが国であり世界である。祖父の言葉よ」 レインの瞳をみて答える。 レインが面食らったような顔をしていた。
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