頼むよ、若者!

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 問題は、その便利な物をどう使うかです。使う人間の考え方、良心の問題です。 悪用はいけませんよ。発明した人も、知らずに解答を送ってくれた人も、まさかこんなことに使われるとは思わず、さぞびっくりだったでしょう。  今回、犯人は当然、真面目に一生懸命勉強した同世代の受験生の努力を踏みつけ、また善意の第三者となる発明者の知恵や解答者の厚意も裏切ってしまった。これは偏差値的にどんなに利口であっても、人としては最低。受験勉強以前の問題!  もっと人間学を身につけないと…。  日本人は便利性、合理性を追求してきたあまりに、昔からある日本人特有の良さを忘れてきてしまったような気がします。  それは「恥」です。恥の文化は、日本人に特有な奥ゆかしい文化です。  これからの日本を生きて、担っていく若者さん、どうか利口である前に、賢く正直であってください。  「大人は嘘つき!」と仰る若者もいらっしゃることでしょう。それは私たち大人が間違っているのです。先を生きてきた者として、人を傷つけたり騙したりする嘘はいけないと思っています。ごめんなさい。  ただし、嘘も方便として使うのは、誰も傷つかないようにとの、日本人の優しい知恵ですよ。  おっと、話が脱線するところでした。  最高学府を受験する方々は、明日の日本を切り拓いていく人材とお見受けします。  ですから、あえて言わせてもらいます。  あのね、ダメなものはダメなの!  日本には理屈や合理性で片付かない「ダメなものはダメ」という心意気が、皆さんのDNAに乗っかって脈々と受け継がれているんですよ。  頼むよ、若者!  世界に胸を張れるような大人になっていって下さい。世界なんて大それていて無理と思われるなら、せめて世間に対して堂々と生きていけるような人になって下さい。  もしも今の大人が悪いことをしていたら、そんなことは真似しなくていいです!  「男はつらいよ」っていう映画をご存じですか? あの中の名ゼリフじゃありませんが「それを言っちゃぁ、おしまいよ」というのがあります。 それをお借りしてお願いします。 「お兄ちゃん、お姉ちゃん、それをやっちゃぁ、おしまいよ」。  次世代の大人に期待と願いをこめて…。
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