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革命暦0058年
中立コロニー「オデッセイ」
「クロム、もう行くの?」
そう聞いた少年は、寂しそうだった。
「うん…。でも、大丈夫だって。また会えるよ。」
クロムと呼ばれた少年は、出来るだけ明るく返事を返した。
彼は、母親の病気を治すために、家族でコロニーから地球に移住する事になったのだ。
「そうだよね。また会えるよね。」
「ああ…。じゃあ、行くよ。」
「うん。おじさんとおばさんによろしく。おばさん、早く良くなってねって。」
「わかった。またな、ランド。」
「またね、クロム。」
その日、クロムはコロニーを発った。
ランドの見上げた空はよどんでいた。
「おかしいな、今日は晴れのはずなのに…。」
コロニーの気候センターが何かトラブルでも起こしたのだろうか。
いや、この先に起こる、彼らの残酷な運命を表した空だったのかもしれない……………。
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