コバルトブルー

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 結局ピンク色の、やっぱりフリルがたくさんついた可愛らしい日傘を持たされた。差さないのも何だし使ってるけど。  多分この傘もお嬢様の、今日の俺と蓮華さんの服装に付随するアクセサリーだろう。  だってどう考えてもこの傘蓮華さんの趣味じゃないし。  薺に聞いたけど、蓮華さんはああ見えてパンク系が好きで、可愛らしい私服はほとんど持ってないんだとか。……もったいないなぁ。ロリータ系も着ればいいのに。  屋敷の玄関から続く白い飛石を辿って歩く。花に彩られた庭を抜けて、木々が多い茂る森を抜けて、浜辺に作られた桟橋に辿り付いた。 「……あー、そっか」  お嬢様からここに来た、というかいた初日に言われた事を思い出す。  広がる海は鮮やかなコバルトブルーで、どこまでもどこまでも続いているような錯覚すら起こさせる。遠く空と混じり合う水平線が、余計広さを感じさせた。
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