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「何で家が道場なんてやってんのかな~」
少年は一人事を呟きながら、高校の卒業式を終えて、帰り道をゆっくりと歩いていた。
「はぁ~」
その夜。大きく溜め息を吐いた少年は、汗だくになりながら、夜の道場の床にどさっと音を立てて座り込んだ。
「こるぅぁぁ~!!!!!! 何を座っとんじゃ!! まだまだ稽古は終わっとらんわい!!!!」
お爺さんは、大きく、威圧感のある怒声を道場に響かせて、目の前に座り込んだ少年の腕を掴んで、無理矢理立たせようとした。
「もういいだろ、爺ちゃん。何でこんな思いを、ていうか俺は道場は継がないって言ってるだろ?!」
お爺さんの怒声に反論しつつ、仕方ないと言わんばかりに立ち上がった。
「ばっかもーん!!!! 進路も決まらないまま卒業しおって、何を言ってるんじゃ!!!! ほれ、稽古を続けるぞ!」
少年が立ち上がるとすぐに、お爺さんは竹刀を構えた。それに合わせて、「分かったよ・・・・・。 はい。」と少年も竹刀を構えた。
それから次の日。
少年は、朝早くに日課である、散歩に出掛けた。
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