剣一

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「はぁ~」 前日と同じ溜め息を吐いた少年、神野剣一は、眠たそうに田んぼ道を歩いている。 剣一は、子供達が通う剣道の道場がある以外は、普通の家庭の一人息子である。父、剣次は単身赴任で、殆ど家にはいない。母、京子は専業主婦で、祖父、剣三は道場の師範をしている。高校を卒業すれば、道場を継げと言われていたので、剣一はすぐに働こうと思った。しかし、剣一には、剣道が全国大会レベルである以外は何も特技がない。大学からの推薦もあったが、「進学するなら道場を継げ!!」と、祖父は推薦を受け入れなかった。 そんな剣一は、結局仕事も見つからずに、高校を卒業してしまって、今に至る。いわゆるニートである。 いつもの散歩道を歩いていると、いつも通りかかる電柱に、見たことのない求人ポスターのようなものが貼ってあった。 続く・・・
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