壱__思い出の場所

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『よぉっ!テツ!』 改札をくぐるとそこには、一樹(かずき)がいた。 『おぉっ、久しぶりだな!すっかりおっさんだな、お前も!』 さっきまで曇っていた哲也の顔は一気に輝いた。 なぜなら、何を隠そう彼は高校時代の盟友なのだ。七年前、二人は『双頭の龍』という通り名で龍神高校の黄金時代を築いた。 分かりやすくいうと、やんちゃだったのだ。 昔はよくやんちゃしたと自慢気に話す奴がいるが、俺は絶対に誰にも言わなかった。話してしまったら何か昔の輝かしい栄光が、軽いちっぽけなものになってしまいそうで怖かったのだ。 『じゃあ、どこ行くよ。一樹。』 『何も考えて無かったのかよ。』 『な、なんだよ!てめぇは何か考えてきてんのかよ!!』 少し声が大きくなってしまった。 『ははは、相変わらずだな。すぐキレる。しかも変なとこで。ちゃんと考えて来てるぜ?テツと違ってな。』 一樹はどこか嬉しそうだ。 お前も変わってねぇよ!と言おうとしたが止めた。 昔からそうだった。怒ってるのに一樹は笑って受け流す。でもそれがなぜか心地よかった。 『うるせぇ!なら早く行くぞ!!』 哲也は急に歩き出した。 『おいおい、場所分かってんのか?』 一樹が苦笑いしながら付いてきた。
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