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『よぉっ!テツ!』
改札をくぐるとそこには、一樹(かずき)がいた。
『おぉっ、久しぶりだな!すっかりおっさんだな、お前も!』
さっきまで曇っていた哲也の顔は一気に輝いた。
なぜなら、何を隠そう彼は高校時代の盟友なのだ。七年前、二人は『双頭の龍』という通り名で龍神高校の黄金時代を築いた。
分かりやすくいうと、やんちゃだったのだ。
昔はよくやんちゃしたと自慢気に話す奴がいるが、俺は絶対に誰にも言わなかった。話してしまったら何か昔の輝かしい栄光が、軽いちっぽけなものになってしまいそうで怖かったのだ。
『じゃあ、どこ行くよ。一樹。』
『何も考えて無かったのかよ。』
『な、なんだよ!てめぇは何か考えてきてんのかよ!!』
少し声が大きくなってしまった。
『ははは、相変わらずだな。すぐキレる。しかも変なとこで。ちゃんと考えて来てるぜ?テツと違ってな。』
一樹はどこか嬉しそうだ。
お前も変わってねぇよ!と言おうとしたが止めた。
昔からそうだった。怒ってるのに一樹は笑って受け流す。でもそれがなぜか心地よかった。
『うるせぇ!なら早く行くぞ!!』
哲也は急に歩き出した。
『おいおい、場所分かってんのか?』
一樹が苦笑いしながら付いてきた。
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