壱__思い出の場所

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『おっ!あっ、あれ?マジか!?』 あっという間に一樹は負けてしまった。 『やっぱり久しぶりにやると全然動かせないな。よしっ!じゃあ次、テツ!頼んだぞ!!』 『あっ、あぁ。』 『なんだよ、やる気出せよ!俺の痛みはお前の痛み、お前の痛みは俺の痛み、やられたら倍返し!だろ?』 久しく忘れていた、この気持ちを。腹のそこから熱いものが湧き上がってくるのを感じる。 『おうっ!』 あきらかに哲也の目つきが変わった。 [俺の痛みはお前の痛み、お前の痛みは俺の痛み、やられたら倍返し]とは二人がよくお互いに言っていた言葉だった。 哲也も一樹も鬼のようにケンカが強かった。だが一番力を出せるのはお互いを守る為に戦う時だった。どちらかに手を出せば二倍になって返ってくるのだ。そしていつしか二人は恐れられ、双頭の龍と呼ばれるようになった。 本気になった哲也にかなう者は誰一人いなかった。 『おぉ!さすがテツ、ラスボスまで倒しやがった。』 『あぁ、よゆー。』 俺は親指を立てながら振り返った。 『あぁ!これで俺は満足だ。次行こうぜ!』 だが、一樹はすでに出口に向かおうとしていた。 『えっ!?もう!?早くね!?』 親指を立てたまま俺は言った。
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