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『おっ!あっ、あれ?マジか!?』
あっという間に一樹は負けてしまった。
『やっぱり久しぶりにやると全然動かせないな。よしっ!じゃあ次、テツ!頼んだぞ!!』
『あっ、あぁ。』
『なんだよ、やる気出せよ!俺の痛みはお前の痛み、お前の痛みは俺の痛み、やられたら倍返し!だろ?』
久しく忘れていた、この気持ちを。腹のそこから熱いものが湧き上がってくるのを感じる。
『おうっ!』
あきらかに哲也の目つきが変わった。
[俺の痛みはお前の痛み、お前の痛みは俺の痛み、やられたら倍返し]とは二人がよくお互いに言っていた言葉だった。
哲也も一樹も鬼のようにケンカが強かった。だが一番力を出せるのはお互いを守る為に戦う時だった。どちらかに手を出せば二倍になって返ってくるのだ。そしていつしか二人は恐れられ、双頭の龍と呼ばれるようになった。
本気になった哲也にかなう者は誰一人いなかった。
『おぉ!さすがテツ、ラスボスまで倒しやがった。』
『あぁ、よゆー。』
俺は親指を立てながら振り返った。
『あぁ!これで俺は満足だ。次行こうぜ!』
だが、一樹はすでに出口に向かおうとしていた。
『えっ!?もう!?早くね!?』
親指を立てたまま俺は言った。
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