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一方、とある場所
「うっ…。気絶してたのか…。あっ!西園さんは!?」
「大丈夫です。私はここに居ます。」
僕が近くを見渡すと、西園さんはすぐ近くに居た。
「えっと…、ここは牢獄?」
「はい、私も起きたらここに居たので、詳しいことは分かりませんが…。」
「いいよ、それで。ところで祐介とかは無事かな…?そうだ、携帯が!」
携帯を出そうと思ってポケットをまさぐるけど、ポケットの中には何もなかった。
「どうやら、気絶した時に荷物は全て、盗られてしまったみたいです。今の私達に、連絡手段はありません。」
西園さんが冷静に、静かに告げる。
「そっか…。今の僕達は無力って事だね…。」
僕はがっくりと簡易ベッドに腰を下ろす。
「私達は無力ですが、来栖さんなら、何とかしてくれるかもしれません。ですが、それには来栖さんは、ゲームを降りなければならないんです。」
その時、監獄の扉が開いた。
「来栖さん!」
入ってきた鬼は肩に来栖さんを担いでいた。
「ほら、お仲間だよ。」
鬼は来栖さんを乱暴に檻の中に投げ入れ、鍵を閉めて出ていった。
「来栖さん!大丈夫!?来栖さん!」
来栖さんは命はあるけど、全身に打撲や切り傷があり、始めに比べると痛々しいモノになっていた。
「わ、私は…。大丈夫、です。それよりも、お二人が、生きていて、良かった…。」
「来栖さん、蜜柑は、ありますか?」
西園さんのいきなりのその質問は僕にはよく分からなかった。でも来栖さんは分かったようで、右手を軽く振った。
「気付いて、くれるでしょう、か?」
「きっと、誰かが…。」
西園さんが小さく答えると、来栖さんはそこで意識を失った。
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