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「確か、ここで別れたんだよな…。」
祐介は一人廊下を走っていた。理由は一つ、自分がペアを組んだ少女の安否の確認のためである。
「来栖…、生きていてくれ…。弘人に西園も居ないんだ…。お前も居なくなったら、皆が不安になってしまう。」
祐介が不安を抱きながら来栖の走った廊下を走っていると、場違いな蜜柑の香りがした。足元を見ると蜜柑が一つ、たった一つ、ぽつんと置いてあった。そして、その先にあるアカイモノを祐介は見た…。
「な、何だよ…。これ…。酷すぎるじゃねぇか…。」
そこには壁一面に広がる血の痕があった。
「ちょっと、思い切っただけだろ…。何で、ここまで…。来栖…。」
祐介が悲しみのあまり膝をついたその時、祐介はふと手に持っていた蜜柑に目が行った。
「何だ…?この蜜柑何かおかしい。何か書いてある…?」
祐介がゆっくりと蜜柑を回してみると、そこには来栖からのメッセージがあった…。
「……………。来栖。そうか、お前はこの為に…。なら、俺のすることは一つしかないな。」
祐介はゆっくりと蜜柑を床に置くと、血の痕に手を合わせ、その場を立ち去った。その後、祐介の姿を見た者は誰も居ない。
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