まずはご挨拶

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鬼役のオートマータはまずは書斎に足を踏み入れた。ここには浜田桜が隠れていた。浜田桜は書斎の入り口の観葉植物の影に隠れていた。 (……アレが鬼役…。アレにバレたら、私死ぬのかな…。死にたくないよ…。) オートマータはしばらく歩き回っていたが、桜を見つける事無く書斎を出ていった。 次にオートマータが訪れた場所は食堂だった。ここには金丸毅、古橋卓也、赤城京子が隠れていた。 古橋が上の右端の食器棚、赤城がテーブルの下、金丸は掃除ロッカーの中である。 オートマータは食堂に入るとまずは食堂の観察を始めた。 しかし、何も無いのを知ると、探索せずに出ていった。 しかし、まだ安堵するには早かった。ほんの少しの音だけでオートマータは戻ってくるからである。 油断は金丸にあった。金丸が少しロッカーの扉に靴を当ててしまったのだ。普通の人間相手なら小さなミスで済んだが、オートマータには重大なミスだった。 オートマータは戻ってくるなり食堂の扉を破壊した。そして、食堂を念入りに探し始めた。 (早く、早く立ち去ってくれ…。) 食堂に居る全員がひたすらそれだけを願った。 それをどれだけ願っただろう…。いつの間にか、音は無くなっていた…。 (で、出ていった…の?) 赤城がテーブルクロスのほんの僅かな隙間から外を見たとき、赤城は目を疑った。 オートマータはずっと金丸の隠れる掃除ロッカーの前で…、佇んでいた。ずっと、一歩も動かずに。まるで、そこに誰かが居るのが分かっているかのように、ずっと、立っている。 そして、なんという事だろう。掃除ロッカーがゆっくりと、開いていくのだ。それはオートマータが開けているのではない。哀れな男が、我慢しきれずに、自分から開けてしまったのだ。 そして、彼は気づく。自分は今、最もしてはならないことをしてしまった、と。 「ミーツケタ。」 オートマータはそう呟くと掃除ロッカーにミサイルを叩き込んだ。 金丸毅、脱落。
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