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僕達4人が牢獄から戻った時、施設にはバケモノというバケモノが溢れかえっていた。
何事があったのかを近くにいた一体に聞くと、今から最終ゲームが始まると言う。
「最終ゲーム…。フェンシング…?」
「フェンシングって、スポーツの一つじゃない…。」
僕達が不思議がっていると、さっきのバケモノが答えてくれた。
「このフェンシングはな、お前達の知ってるフェンシングじゃないんだ。負けた奴は必ず死ぬんだからな…。お前達は観客か?観客なら俺の隣に座れ。ここならよく見える。」
親切なバケモノが隣の席を4つ分わけてくれた。
その厚意に甘んじて来栖さんを気遣いながら席に座ると妖怪と妖怪が、異様に長いアイスピックを持ってお互いを突き刺し合っていた。ふと、テレビモニターに目を移すと、プレイヤー欄に祐介の名前があった。祐介の上には赤いラインがあり、一回戦は勝った事が分かった。
「祐介…勝ってるんだ。」
僕が胸を撫で下ろすと、先ほどのモノが試合説明をしてくれた。
「祐介?おぉ、あの人間か。アイツは凄かった。相手は鋼鉄の騎士という奴だったんだがな。素早い身のこなしで騎士の攻撃をかわして甲冑の隙間にこう、ズブッと剣を刺して勝ったんだ。」
「そうなんですか…。あの、今までこのフェンシングに参戦した人間って…。」
そう僕が質問すると、やっぱり彼は答えてくれた。
「参戦者はもちろん、観客にだって居なかった。だから今日は非常に珍しい日だと言える。おっ、次は祐介君だぞ。相手は…。うわ、骸骨男だ。アイツは骨だからな。苦戦するんじゃないかな…。」
隣で彼が分析する中、僕はリストの中に気になる名前を見つけた。
「あの、参戦者リストに高梨真澄ってありますけど…、まさか…。」
「あぁ、そうだよ。お嬢さ。お嬢はこのゲームとても強くてねぇ…。」
予想に違わない答えが帰ってきた。
若干の違和感を感じていると祐介の死合いが始まろうとしていた。
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