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「では、少々お待ちください。」
高梨さんは音もなく立ち上がるとスッと奥の廊下へ消えていった。
「………やっぱり鬼役は一人じゃなかったね。」
気を引き締めると僕の袖をくいっと引っ張る人がいた。西園さんだ。
「あの…、あなたに、お話ししたい事が…」
「え?僕に?」
コクンと小さく頷く西園さん。そして、高梨さんが消えていった方向に僕を引っ張って行く。
「え?皆は連れてこなくてもいいの?」
コクン。
「そ、そうなんだ…。で、僕に話って?」
コクン。西園さんは小さく頷くとゆっくり話してくれた。
「はい、それは、彼女の事です。」
「彼女…、高梨さんの事?」
コクン。小さく頷く。
「彼女に何か、違和感を、感じませんでしたか?」
「あぁ、そういえば少し…。!?西園さん、後ろ!」
「え?きゃっ!?」
ビリッ!!
と言う音と共に西園さんが倒れ、スタンガンを持ったスーツの男達がいつの間にか僕達を囲んでいた。
「………もうゲームは始まってたんですね…。僕を捕まえる前に、一つ聞かせてください。あなた方が、鬼ですか?」
「………そうです。」
鬼は、静かにそれだけを答えてくれた。そして、そこで僕も意識が途切れた。
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