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「くそっ、来栖もやられて、弘人と西園も居ない…。いきなり三人もゲームオーバーかよ…。」
「しかし、このままじゃ皆あのバケモノに捕まるぜ!?おい古橋!何かいい案無いのかよ!?」
金丸が焦って古橋に詰め寄る。
「今は逃げるしかないね…。でも、かくれんぼになれば僕たちにも勝機が出てくる。高梨さんが言ってたよね?一定秒数逃げ切れば鬼達は後ろを向いて数を数えだすって。」
「あっ…。そうか!流石古橋くん!」
女子の数人が古橋を誉める。
「でも、分からないことがあるんだ…。かくれんぼで探す鬼は誰なのか。それを僕らは聞いていない…。」
古橋が考え込もうとした時、すぐ後ろに気配があった。
「しまった!皆足が止まってる!鬼に追い付かれた!」
祐介が時の遅い忠告をするが、鬼はもうグループの数人を視野に納めていた。
「うおおおおおっ!」
鬼は金棒を振り回しながら唸り声を上げてグループを追いかける。
「走れぇー!休むなー!」
「………祐介君!ダメだ!そっちは行き止まり!」
「何っ!?しまった!」
ここでの選択ミスは痛い。ほぼゲームオーバーは確定になるから。
その時、アナウンスが一つかかった。
「おめでとうございます。第1ゲーム、鬼ごっこ。クリアでございます。続いて第2ゲーム、かくれんぼをこれより10分後に行います。」
そのアナウンス終了と共に今まで追いかけてきていた鬼がぞろぞろと来た道を帰っていった。
「た、助かった…のか?」
祐介がゆっくりと確認をとる。
「来栖さんと西園さん、春日夜君以外はね…。」
古橋が静かに答えた。
「くそ…。皆ここで待っててくれ。俺は来栖の様子を見てくる。」
「一人でかよ!?だったら俺が行くぜ!」
祐介の申し出を金丸が代行しようとするが、祐介は断った。
「いや、お前はここで皆を守ってくれ。来栖は俺のペアだ。ペアとして俺は責任を果たさなければならない。じゃあな、頼んだぜ。」
そうして、祐介は来た道を引き返していった
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