1006人が本棚に入れています
本棚に追加
マイの強い視線に追い立てられるようにして、車に向かった。
「そいつを捕まえて下さい!」
警察官の声に、通りすがりの男が俺を押さえつけようとする。
振り払い、車に乗り込み…エンジンをかけても、なお縋り付く男。
時計がワイパーにひっかかって折れた。
…マイが捕まった。
約束通り、俺は逃げなきゃいけない。
証拠隠滅しなきゃいけない。
わかってる。
わかってるけど…
マイ!
マイ!
…マイが隣にいない事がすごく怖い。寒い。
俺が逃げ出す瞬間。
微笑んだマイの表情が刻み付いて忘れられない。
なぜ笑う?
…俺の恋人は、小さくて弱そうで、すぐ折れてしまいそうに見えて…
柳の木のように、しなりながらも折れない強さを持った女なんだと、知る事になる。
最初のコメントを投稿しよう!