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夕暮れ時。
繁華街から少し離れた郊外に
その孤児院はあった。
子供たちは
家事を分担して、
仲良くやっていたが
次第にあぁでもない
こうでもないと
意見がまとまらず
少しケンカしたりしていた。
そのケンカを仲裁するように、
庭先に干した洗濯物の横を
ガタイの良い体が横切り
大きく元気な声で
「あー!腹へったぁー
メシ、まだかぁー」
その声の主は陽だ。
「コラ!陽!ただいまだろ!」
陽を叱りながら、
義母の恵子は顔に似合わない腕っぷしで陽をゲンゴツで、こずいた。
陽は痛がりながら、
義母の肝っ玉に逆らえず
手を洗いに行った。
「はぁ~💧、まったく
誰に似たんだかねぇー」
玄関先で枯れ葉を
ほうきで掃きながら
恵子が溜め息をつくと
となりで煙草を吹かしながら、
「それは、恵子に
似たんじゃないか?」
と、ぼそっと
義父の三朗が酒やけした
声で耳打ちした。
「え?
今、何か言ったかぇ?💢
サブローさん?」
サブローの首を恵子は
その腕っぷしで
今にも殺す勢いで
しめあげた。
「く、苦しい
死ぬ、死ぬぅ。」
サブローは今にも
泡を吹きそうだ。
煙草を持つ手に力が無い。
「はい!そこまで!
子供たちが見てますよ!
義母さん、義父さん」
透き通る声で
長身で細身の男が
恵子の殺人未遂?
を食い止めた。
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