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「もう一回バカって言ったら、お兄さんの睫毛を引っこ抜きますよ」
「なんだ、そのピンポイントな攻撃は…。もう夜になるのに、どうすんだ?補導されるぞ?」
少女はベースを俺にかざした。
「拾ってくれる人は見つけました」
「なら、そこに行きなよ」
「はい、ここ読んで!」
そう言って、段ボールに書かれた文字を指で示す。
「捨てベーシスト、腕は確か。拾ってください」
「お利口~」
満面の笑みで手をパチパチ叩いている。
さすがにイラッと来る…。
「で、お兄さんの背中にあるのは?」
「ギター」
「ストラトですか?」
「レスポールだよ」
「ほう、私好みだよベイビー!」
「会話に微妙な英語を入れるな。昔のロックンローラーか!」
「落ち着いてください。これ読んだなら、私が言いたいこと分かるでしょう?」
少女は穏やかに微笑んだ。
嫌な予感がする。
「うちに来るってか?」
「はい!」
返事とともに挙げた少女の手を、掴んで元に戻す。
「却下!」
「言うと思いました。じゃあ、演奏を聴いてください」
そう言って、いきなりベースを弾き始めた。
アンプは遠さないものの、確かに上手い。
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