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そこでは、珍しく桜が雄弁を奮っていた。
「京都の嵐山のほうにね、『清滝(きよたき)トンネル』っていうのがあるらしいの。
それは車一台分しか通れないような狭いトンネルなんだけど、
長い上に曲がってて、入口から出口が見えないんだって。
しかも謎の横穴みたいなのもあって、けっこう有名な心霊スポットなんだって。」
「あっ、それやったら知ってるで!雑誌で読んだことが…モゴ」
「つばきゅん!桜の話の邪魔をしないの!
ささ、続けて続けて?」
「ふふ…ありがと。
で、そこは椿くんが知ってるように有名なとこなんだけど、本当の心霊スポットはね、その上らしいの。」
「上?」
「そう。
清滝トンネルに入る直前に横に入れる道があって、そこからトンネルの上の山を通れるようになってるんだって。
その名も『試み峠』。
勾配がすごく急な坂道になってて周りに電灯もないから、夜は懐中電灯が無いと歩けないくらいすごく暗いらしいの。
で、その坂道の頂上にはある岩があるんだって。
その岩には『正』の字がびっしり彫ってあって、それは昔、女の子がいじめられる度に書き加えていった跡なんだとか。
女の子は谷底に身を投げたんだけど、今でもそこには女の子の霊がいて、通り掛かった人達を谷底に突き落とすのでした……。」
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