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ラウロンは口を拘束具で固定されている為、んーんー。と苦しそうに声を上げた。
「難儀なものだな。任務を果たすために帰還せざるをえなかった」
「だが残念だ。貴様は任務を果たすことはできない」
「貴様の任務は失敗に終わる」
3人の声とトーンは、全く同じだが、それぞれが喋っていることは、音の反響で分かった。
中心の黒スーツが何かを指示する動作をした。
瞬間――
ラウロンの首から上が、粉々に砕け散ってしまった。
一瞬の出来事で『レッドツリー』のボス、ラウロンは絶命した。
「これで貴様が任務を達成させることは不可能となった」
「悔しかろう? 我々は知っているぞ。貴様が組織と交わした約束を」
「……未達成ねえ」
エンは慌てた様子もなく、手に持っていた銀のトランクケースを足元に置いた。
「そのトランクを届けることが、もう1つの任務ではあるまい?」
「我々は知っている。貴様の受けた真の任務」
「”貴様自身の手で”ラウロンを抹殺することであろう? だがお前は失敗した。粉々になった頭部を復元せぬ限り、この亡骸が誰か判別できまい?」
なんだかねえ。
そう切り出したのは、エンだった。
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