序章

3/3
前へ
/198ページ
次へ
 その刹那、男の身体に異変が起きる。チクリと心臓がある左向けを中心とした身体の左半身に激痛が走る。 「うう、なんだ、この痛みは……ぬああ、か、身体が動かないぞ!?」  痛み悲鳴を上げる男の身体が、ビキンッと突然、硬直し、仰向けに転倒するのだった。 「な、なんだ、あれは!? う、うわああ、パソコンのディスプレイから……ぎゃあああっ!」  それは一瞬だった。男の両目がパンッという軽い爆発音とともに破裂する! パソコンのディスプレイから一体、何が飛び出したんだぁー!? 「め、目が……目がぁぁぁ!!」  両目が破裂した男は、ぎゃあああーと悲鳴を上げながら、床を転げまわる。  カタカタカタ……パソコンのキーボードを押す音が聞こえる。両目を潰された男以外、この部屋――光桜学園新校舎四階にあるパソコン部の部室内には誰もいないはずなのに!? 『イタダキマス』  パソコンのディスプレイには、そんな文字の羅列が表示されると同時に、ブシャッ!! という音が響きわたる。 「おい、高瀬! 何、叫んでる……うわあああああっ!」  男の絶叫、悲鳴、怒声――とにかく、けたたましい声を聞きつけたパソコン部の顧問の先生である及川先生が、そんなパソコン部の部室へと駆け込んだ時、そこには物言わぬ血まみれの肉塊と化した男の姿が――。 「か、顔がないぞ!?  ガクンと尻餅をつく及川先生は、物言わぬ肉塊となった男――高瀬の死体の顔が、まるで虎などの大型肉食獣の仕業では!? とそう思う他がないくらいズタズタに食い千切られていることに気がつく!  さて、私――山崎サキがネット回線に潜む<旧支配者>と遭遇することとなる事件の発端は、こうして始まるのだった!
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28人が本棚に入れています
本棚に追加