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間にしばらく沈黙の空気が入って、再び沙世子は続ける。
「お気になさらずにどうぞご要求でも何なりと宜しくお願いします」
「そう言ってくださると頼み易くなります。誠にありがとうございます」
「あなたはわたしの携帯の恩人です。わたしは喜んでお受けいたします 」
初めてのキスの体験日に相手から逃げ出したのだ。余所の男の要求をのまないのはプライドが許さないだろう。
「ぼくも男だから腹を括って尋ねます。ぼくと一度、一度だけです。思い出に残るキスをしてください!!宜しくお願いします!!」
「どこに……場所によってはわたしにも選択肢あると……」
「口と口……やはりダメですね」
彼女は、納得した表情で頭を軽く縦に振った。
「なるほどね。ふぅん、そういうことか?わたし敢えて選択しないわ。あなたの好きにしていいわよ」
所変わって、中山町駅前のインターネットカフェ『ドリフトルーム中山町駅前店』に入店していた。
ペアブースの利用は男の方は無くとも沙世子にはよく友人と回数多く利用していたから、その環境は慣れていた。
「わざわざこのような場所まで……誠になんて申し上げたらいいのか」
「ブースの中なら、落ち着くと思って、狭かったらごめんなさい」
「そ……そんなことありませんよ。むしろぼくも静かな場所が良かったから。あ、申し遅れました。ぼくは、佐瀬清崇といいます」
「ああ、紹介まだでした。わ、わたしは内川沙世子といいます」
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