768人が本棚に入れています
本棚に追加
「…そっか。どんな人なの…?」
これくらい聞いても、怪しまれないよね…?
「そうだな…。いつも明るくて、俺に遠慮ばっかしてて、しっかりものかと思えば抜けてるところもあって、笑顔が素敵な子…かな」
どことなく照れ臭そうに答える和沙から、本気でその人のことが好きなことが伺える。
僕とは全然違う人だ…。
僕なんか根暗だし、図々しいし、しっかりしてないし…。
笑顔も全然、素敵じゃない。
どうやっても叶わない恋なんだ。
「そっか…。もう、付き合ってるの?」
「いや、俺が好きなことすら気付いていないだろうな」
じゃあまだ和沙の片思いなのか。
片思いだと分かっていても、僕にはどうすることも出来ないのだけれども。
「告白しないの…?」
「しないというより…できない、かな」
困ったように微笑む和沙を見ると、告白するのには何らかの問題があるのだということが分かる。
もうすでに恋人がいる…とか?
でも和沙くらいになると、恋人がいる相手でも告白くらいはしそうだ。
だとすると、既婚者…?
さすがに不倫はダメだし…。
だから告白出来ないとか…?
色々考えると、悪い方向にばっかり走ってしまう。
「…お兄ちゃんなら、きっと、上手くいくよ」
無理矢理笑顔を作って、和沙に笑いかけた。
僕があれこれ考えたって、本当のことは和沙にしかわからないんだから。
和沙の幸せが、僕の幸せなんだから。
僕は和沙を応援しなきゃいけないんだ。
.
最初のコメントを投稿しよう!