#1

6/10
768人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
ドアを開けると、真っ暗な台所の方に人影が見えた。 「だ、だれっ!?」 恐怖で声が裏返り、腕が震えた。 でも、和沙がいない今、この家を守るのは僕の役目なのだ。 おそるおそる、スイッチを押した。 「あ、明沙…」 「お兄ちゃん!?」 明かりを付けると、割れた皿を持って申し訳なさそうにしている和沙がいた。 「悪いな、お皿割ってしまって…。明沙寝てたから、自分でご飯やろうと思ったんだ。そしたら…」 「起こしてくれていいのに…。でも何で電気もつけずに…?」 電気もつけずにご飯を盛るのは、無理な話だろう。 なのにどうして…? 「いや、特に理由はないんだけど…」 和沙はどことなく狼狽えている。 何か理由があるのだろうが、あまり深く追求するのも悪い気がするので、気にしないことにした。 「じゃ、ご飯食べよっか! 」 「ああ」 .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!