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ドアを開けると、真っ暗な台所の方に人影が見えた。
「だ、だれっ!?」
恐怖で声が裏返り、腕が震えた。
でも、和沙がいない今、この家を守るのは僕の役目なのだ。
おそるおそる、スイッチを押した。
「あ、明沙…」
「お兄ちゃん!?」
明かりを付けると、割れた皿を持って申し訳なさそうにしている和沙がいた。
「悪いな、お皿割ってしまって…。明沙寝てたから、自分でご飯やろうと思ったんだ。そしたら…」
「起こしてくれていいのに…。でも何で電気もつけずに…?」
電気もつけずにご飯を盛るのは、無理な話だろう。
なのにどうして…?
「いや、特に理由はないんだけど…」
和沙はどことなく狼狽えている。
何か理由があるのだろうが、あまり深く追求するのも悪い気がするので、気にしないことにした。
「じゃ、ご飯食べよっか!
」
「ああ」
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