――《起章》――

1/1
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/153ページ

――《起章》――

  それは決して、目に見えない。 無形であり、不確かであり、透明だ。 そしてあまりに脆いそれを、誰しもが持っている。 それを守る手段がある。 隠してしまえばいいだけだ。 そうやって暗闇に放り込んで、いつしか、自分自身さえ色や形を忘れる。 それでもなお、閉ざさなければならない。 人は、傷付け合ってしまう生き物だから。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!