プロローグ・幼なじみと俺

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いつもの電車はやっぱり混んでいて、物凄く暑苦しい。 しかも隣にいる若いサラリーマンのイヤホンから漏れ聞こえくる、アイドルの歌声がさらにイライラを加速させる。 だいたい、いい歳して10代の集まりに心踊らせてんじゃねーよ、とか理不尽な言葉が今にも口から出てしまいそうだ。 そんな事は絶対に言わないけど。 それにしても今日は一段と混んでいるような気がする。 何となく理由はわかってはいるが。 改札をくぐる時、駅前広場に中学生の集団がいた。 と言うのは、自分が中学三年の時に、お世話になった先生を見かけたので、声を掛けようか迷った挙げ句、恥ずかしさとめんどくさとで結局何もしなかっのだ。 まぁ、別に思い入れのある先生でもないのでかまわないわけで。 とにかく不運にも中学生の集団と同じ車両に乗り合わせてしまったらしい。 全くもってうっとしい。 自分も中学生の時はそう思われていたのかもしれないがそんなものは関係ない。 何故なら今の自分は中学生ではないからだ。 だからと言って社会人でもないが。 自分で言うのもなんだが高校生ってものは一番中途半端でめんどくさいと思う。 特に自分はその中でもかなりのハイレベルにいるわけで。 親とは仲が悪いということはないが善くもない。 必要最低限の事以外はコミュニケーションは皆無だ。 だからと言って完全に独立しているわけでもなく衣食住は完全に頼り切っているわけで。 学校で仲のいい友達はいるし、クラスのみんなからはあだ名で呼ばれたりもしている。 でも休日に遊ぶ程の友達はいないし、彼女がいるわけでも、アルバイトをしているわけでもない。 一応、部活動は硬式テニス部に在籍しているが特別上手いわけではなく下手くそでもない。 部員からはそれなりに慕われてはいるがやっぱり休日に遊びに行ったりなんてしたことない。 強いて言うならば、部活終わりに駅前のコンビニで部員みんなでパックのジュースとレジ横で温められているチキンを買い食いするのがプチ遊びみたいで少し嬉しかったりはするが。
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