プロローグ・幼なじみと俺

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それから数分もしないうちにホームに電車が入ってきた。 みさが先に、その後に俺が乗り込む。 この電車は自分の通う高校の最寄り駅に停まるため、同じ制服を来た人が既に沢山乗っている。 しかもこの時間はかなり混む。 だが今日は一段と人が多い。 何故なら、あの中学生集団がいるせいだ。 なんとまぁ、乗り換えた電車まで同じになるとは。 「今日は混んでるね」とか、みさが言ったけど、独り言ですね、今はセルジューク朝なんです、かなりてこずっているんです、だから黙っていてください、みささん。 とか思いつつも、さっきから柔らかいものが俺の胸にあたっているわけで。ムラムラ。 ガタンと電車が揺れるたびに、むにゅって。 それにイイ匂い。 シャンプーの匂いだろうか。 あの化粧ババァとは比べものにならないな、うん。 それにしても、困った。集中出来ない。いつもは気にしないのに。なんで。やっぱり脳内召喚された、みさが原因だな、はい。と自己完結。 軽いパニックに陥る俺。 電車が揺れるたびに ガタン、むにゅ うーん ガタン、むにゅ まずい ガタン、「むにゅ」 あっ… ………………… だがもう遅い。 みさは顔を真っ赤にして睨んでいた。 いやいや、さっき水着云々で逆セクハラされたばかりですが、と抗議の眼差し。 が、恥ずかしくなって、みさと自分との顔の間に教科書を挟んで、「セルジューク朝」と言っといた。 駅に着くと、みさはそそくさと階段を上がって行ってしまった。 まぁ、別に気にはしないけど。 と言いつつ、携帯で、ごめん。、と送信。 駅から学校まで徒歩十分。 最後の悪あがきをするべく教科書を片手に歩きだす。 「セルジューク朝って難しいね」とか言ってみた。 独り言。ボソボソ。 ちょっと怪しい子になっちゃってるなぁ、と反省していると携帯が鳴った。 マナーモードにするのを忘れていたのか、とか思いながら開くと、新着メール。 もう、気にしてない。 携帯のパワーボタンを連打して待ち受け画面まで戻すと、マナーボタンを長押し。 携帯を閉じて制服のポケットに入れると、再び教科書に視線を戻す。 まぁ、取り敢えずは許してもらえたみたいだった。
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