プロローグ・幼なじみと俺

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それにしても柔らかかったなぁ、とか思ってしまう。 いやいや、本当にドキドキ。 真っ赤になった、みさの顔が思い出される。 うん、やっぱり可愛いかったな、とか再認識。 というか、あんなに可愛かったっけ?とか脳内にある、みさメモリーをちょこちょこいじってみる。 ………………。 検索件数ゼロ、該当項目無し。 やっぱりね。 普段から可愛いとは思っていたのは事実。 でも今日の、可愛い、は明らかに別物だったりするわけで。 参ったな、アハハ、とか心で呟いてみて、さっきからただ眺めているだけの教科書を閉じる、悪あがき終了。 エナメルカバンに教科書をしまうと「オッス、オラ、ヨシザキ」とか言いながら突然、目の前に現れたアホが、めんどくさいので「あいにく、ギャルのパンティなんて持ってねぇよ」とかあしらってみた。 「相変わらず、冷たいねぇー、ツンドラ?」とか言いやがるヨシザキ改め、ウザイ君。 もはや名称じゃねぇな、コレとか思ってみたり。 因みに、ツンデレだろ!、とかって言ってしまうと、俺がウザイ君に対して、デレちゃうとか、そんな一面もありますよ、とか肯定してそうなので、あえてスルー。 「今日は、みさちゃんと一緒じゃないのな。ケンカ?」とか訊いてくるから、そんなんじゃねーよ、って応えよとしたら、「てかさぁ----」って昨日のアニメの内容をぺちゃくちゃ話しだしやがる、ウザイ君改めアニオタ君。 興味ねぇなら訊くんじゃねぇ、とか喉元を通り過ぎて、前歯あたりまで、出てきた怒りの声を鼻息で逃がす。 なんか声優がどうとか、その演技力がどうとか、原作通りじゃないとか、作画が、演出が、なんだ、かんだで、わめいているが全く興味がないので右から左へ受け流してみたり。 あれ?なんか懐かしい、とか思っているとズボンのポケットで携帯が震える。 新着メール、一件、と表示されていた。 科目の順番が変わって、先に数学になったよ! と、親切かつ絶望のメールが。 朝、登校して一限目のテストが始まるまでと、二限目が始まるまでの休憩時間に公式さえ覚えて、赤点を逃れればいいや、後は提出物で点を稼いで!っとかってプランがもろく崩れ去っていく音がする。ゴロゴロ。 だからこそ昨日は徹夜で数学の問題集の解答を提出用ノートに延々と書き写していたのに。
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