プロローグ・幼なじみと俺

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しかも、わざと間違えて赤で修正、なんて高等テクニックに労力アンド時間を費やしたために、公式なんてものは全く覚えていなかったりするわけで。 たしか、サイン、コカイン、ヘモグロビン。 なんか、こんな感じなのをマッチョさんが言ってたような、とか記憶を辿ってみる。 因みに、マッチョさんっていうのは、クラスで俺の前の席に座る、青柳小町さんのことで、茶髪のボブヘアでかなりおっとりした感じの女の子。 マッチョさんって呼ぶと「まっちょではありませぇん。小町ちゃんですよぉ!」とか、たまに胸元で人差し指を立てて、おっとりぽわぽわな感じで応えてくれたりするので、かなりの癒しになったりします、はい。 それに訂正はするものの、マッチョさんと呼ばれることは別に嫌ではないらしい。 と言うのは、マッチョさんと初めて呼んだとき、「まっちょさん?それがあたし?」とかぽわぽわ全開で首を傾げる小町さん。 そして「私はまっちょさんではありません、小町ちゃんです。」って言うから、「じゃあ、やっぱり、小町さんって呼ぶよ」とか言ったら、誰が見ても判るぐらいにズーンと落ち込んだりしたわけで。 だから試しにもう一度、マッチョさん、って呼ぶと、パァーっと笑って「まっちょさんではありません」とか。 よく判らないが、小町さん、と呼ばれるのは嫌みたいなので、それ以来はずっと、マッチョさんと呼んでいる。 因みに、マッチョは小町のこ「ま・ち」からきてたりしますが、なにも突然、俺が、マッチョさんとか呼び出したわけではなくて。 そもそも女性に対して、いきなり、マッチョさんなんて呼ぶのは最低すぎるよね。 じゃあ、どうしてって、それは、六月の最初の月曜日に、席替えで前になった小町さんから直々にあだ名を考えてと。 かなり迷った挙げ句、冗談で「こまちのまちを取って、マッチョさんってどう?」ってのが事の始まりなわけで。 まさか定着してしまうとは思いもしなかった。と軽はずみな発言に反省。 そんなこんなで今も、マッチョさんは継続中です。ムキムキ。 学校の正門を越えた辺りで、ようやくアニオタ君改め、ヨシザキのアニメ談議にオチが見えてきたので、「やっぱ詳しいなぁ」とか言ってやるとニカッと笑って「だろ!」って。 ふふん、単純な奴め。と、してやったりとか思ってみたり。
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