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「龍馬がついていないなら、あの娘には今誰が―」
―誰が守り手についている。―
そう問い掛ける前に眉を潜めた。
そして先程から僅かながら放っていた怒気を一層強め、更に鋭い眼差しと共に滲み出る殺気を外に向ける。
龍馬もまた同じ気配を掴み、その気配の方へと神経を集中させた。
先刻までは感じられなかった明らかな殺意を纏った気配。
夜の静かな空間が、より深い暗い闇に蝕まれ犯されるような感覚。
「―夜半に襲撃とは。」
闇に呑まれそうな空間を断ち切るように
凛とした声が響き、静寂に包まれていた部屋の襖が開く。
「先生ッ!」
朱髪の男が叫ぶ。
部屋から現れた男は、周りの気配を探り瞬巡した後、直ぐに朱髪の男に目線を定めた。
「以蔵、狙いは彼女だ。」
「御意!」
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