第一章 桜の邂逅

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        「龍馬がついていないなら、あの娘には今誰が―」 ―誰が守り手についている。― そう問い掛ける前に眉を潜めた。 そして先程から僅かながら放っていた怒気を一層強め、更に鋭い眼差しと共に滲み出る殺気を外に向ける。 龍馬もまた同じ気配を掴み、その気配の方へと神経を集中させた。 先刻までは感じられなかった明らかな殺意を纏った気配。 夜の静かな空間が、より深い暗い闇に蝕まれ犯されるような感覚。 「―夜半に襲撃とは。」 闇に呑まれそうな空間を断ち切るように 凛とした声が響き、静寂に包まれていた部屋の襖が開く。 「先生ッ!」 朱髪の男が叫ぶ。 部屋から現れた男は、周りの気配を探り瞬巡した後、直ぐに朱髪の男に目線を定めた。 「以蔵、狙いは彼女だ。」 「御意!」    
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