Prologue

2/2
前へ
/35ページ
次へ
昨日に何があったか、なんてことは知らないうちに忘れていく。 それは今日のために必要なものでもないし、忘れたって何の障害もないと思う。 でも昨日があることで自分という存在が感じられる。昨日がなければ今自分はいないだろう。 今日に何をやっているのか、それは意識しないうちにしてしまっているのだから考える必要はない。 きっと今していることに確実な価値を見出だすことなんて永遠に無理なんだと思う。 でもそのつまらない行動がいつかは過去になって、大切な思い出に変わっていく。 明日に何が待ち受けているか、そんなことは誰にも分からないし知りたくもない。 確定した明日なんて絶対にありえないし、ましてや今日よりもっと楽しい明日が来る確証なんてない。 でも…その見えない明日に何を作りあげるかは自分次第。それを楽しい明日にするか辛い明日にするか、決めていくのは昨日、そして今日の自分。 だから… 「んなこと絶対させない!アンタを止めて明日を生きる!葵達と一緒にな!」 「…ならその言葉、実現してみろ!」 だから、俺は今日の家族と一緒に笑う明日を掴むために…昨日の家族と決別した。
/35ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加