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身支度をした俺はリビングへ向かう。
リビングに入ると俺を出迎えてくれたのは………家族の誰でもなかった。
「おはよう、カイト。」
「ああ、おはよう。」
俺は声をかけてくれた人間に返事の挨拶をする。
俺が家族でもないやつがリビングにいても平然とできているのは、これがいつもの光景だからであり、
「朝食の用意できてるよ。……朝食っていうにはちょっと遅いけどね。」
それが小さい頃からずっと一緒にいる俺の幼なじみのエミルだからである。
いや、いつもは妹もいるか。今日はいないみたいだけど。
テーブルを見ると、少し豪勢な朝食が用意されていた。
こんな豪勢な食事、俺のおふくろじゃまず作らないし、それに………
「悪いな、エミル。起きるの遅くなっちまって……。」
「仕方ないよ。昨日あれだけ騒いだんだもん。」
もう朝(というより昼?)の10時なんだけど、
料理から湯気が出ているところを見ると、ちょうど今作ったところなのだろうか。
俺の身支度してる間に作ってくれてるなんてさすがだな。
俺はエミルの作ってくれた遅めの朝食を食べた。
おいしかった。
「ごちそうさん。」
「お粗末様でした。……ねえねえ、今日もトレーニングするの?」
食器を片づけながらいつものようにエミルは予定を訊いてきた。
「ああ、もちろん。体が鈍っちゃいけないしな。……それがどうかしたか?」
「そう言うと思って……、今日もお弁当作ってるからね。」
「…………すげえなお前。」
俺のあんな豪華な朝食作っておきながら弁当まで…………。
ほんと、できた幼なじみだよ。
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