第1話 奇妙な光景

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球場に到着! ふーっ!いい運動になった。 「お疲れ様。はい、タオル。」 「おお、サンキュー。」 かばんの中からタオルを出してくれる。 ほんと、手際いいな。 幼なじみだからっていうのもあるんだろうな……。 さて、 「エイジが来てるはずなんだけどな。」 「エイジ君?」 「ああ。今日ボール取ってくれるって言ってた。」 そのエイジがいないな。 時間は合ってるはずなんだけどな。 「どうかしたのかな?」 「さあ…………」 約束を破るようなやつじゃないけどな。 むしろいつも約束を破るのは俺………ってそんなこたあどうでもいいか。 「エイジ君に電話かけてみようか?」 「ああ、頼む。」 事故ったりしてねえだろうな。……ってそれは考え過ぎか。 「ん?」 マウンドに何かある。何だろう? 俺はマウンドに近づいてみた。 そこには…………… 1台のノートパソコンがぽつんと置いてあった。 「…………………」 何でこんなところにパソコンがあるんだ? しかもプレートのところにディスプレイが開いた状態で置かれているようだ。 球場とパソコン。 なくはないかもしれないけど、 マウンドとパソコン。 は、明らかにおかしい。 ………ったく、誰だよこんなところに置いたの。ん? そこでまた妙なことに気づく。 このパソコン………マウスがない。 「ねえ、エイジ君、携帯にかけても出ないんだけど………。」 携帯を耳に当てたまま、エミルは首を傾げた。 エイジが携帯に出ない………? どんな時間に電話をかけても3秒以内には必ず電話に出ると言われるあのエイジが………? ………って、今のは言い過ぎた。 でもエイジのことより俺は目の前のパソコンの方が気になって仕方がない。
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