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「なあエミル。」
「え?」
「こっち来てみろよ。」
エミルをマウンドに呼ぶ。
「何かあったの?」
「ここ。」
俺がマウンドを指し示す。
「パソコンだ……。」
そうだろう。おかしいよな?こんなところに……。
「この白いノートパソコン、こんなところに置いて汚れたりしないのかな?」
……………………。
いや、俺が不思議に思ってほしいのはそこじゃなくてだな………。
なんか時々こうしてエミルとの間にズレを感じる。エミルがおかしいのか、それとも、俺がおかしいのか……。
とりあえず俺は自分の疑問をエミルにぶつけることにした。
「なんでこんなところにパソコンがあるんだ?」
「え?」
「しかも、このパソコンにはマウスがない。」
「…………………。」
不気味だろ?と言おうとすると、エミルはにっこりほほえんで俺に説明を始めた。
「あのね、カイト。最近のパソコンってすごいんだよ。私もこの前知ったんだけど、最近のパソコンってマウスなくても動かせるのよ。キーボードの手前のところに指をおいて滑らせると………マウスみたいに動くの!この前わたしすっごく感心しちゃって………、お店で2時間くらいお母さんと夢中になって遊んじゃった。」
「へ~。」
そうなのか。そんな便利な時代になったんだな。
まあ、俺は今初めてその事実を知ったわけだが、さすがに2時間も遊ぼうとは思わない。こいつ、よっぽど感心したのか。
「というわけで、別にマウスがなくても不思議じゃないよ。」
「そうみたいだな。」
つまりはまあ、俺がどうかしてたってことだな。
最近はマウスのいらないパソコンが発売されてて、マウスがないのは何ら不思議なことではない、と。
うむ、一件落着。
これですべての謎は解決した。
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