第2話 フラグ

2/7
前へ
/28ページ
次へ
「………イト、カイト!」 ん? どこからか俺を呼ぶ声が聞こえてくる。 これはもしかして………、異世界にとばされたとかいうパターンか。 へへっ………、やっとそれらしくなってきたぜ! 目を開ける。 すると、そこには目に涙をためたエミルがいた。 ふっ、予想通りだ。 「カイト……、良かった。頭を強く打ってもう帰ってこないかと思っちゃった……。」 「心配するな。大丈夫だ。」 少々想像を膨らませすぎな気がするが、それも俺を心配してくれてるってことだろう。 優しい幼なじみをもって俺は幸せだ。 まあ、主人公の俺がこんなところでくたばるはずがない。俺がくたばったら………話終わっちゃうしな。 これを主人公補正と言う。 さて、体を起こすか。 壮大なファンタジーの始まりだ。 体を起こすと、そこには見たこともない世界が広がって………いなかった。さっきのグラウンドだった。 「何でだよ!!」 地面を殴る。くそう………。 「カ、カイト………?」 エミルが心配そうな顔でこっちを見る。 待て、言いたいことはわかる。 頭打ってラリってるわけじゃないぞ。決して。 「大丈夫。エミルが思ってるほど深刻じゃない。」 とりあえず大丈夫であることをアピールするため、その辺を走り回る。 「もう……、心配したよ。」 ようやくエミルに安堵の色が。 やれやれ、余計な心配かけちまったか。
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加