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「………イト、カイト!」
ん?
どこからか俺を呼ぶ声が聞こえてくる。
これはもしかして………、異世界にとばされたとかいうパターンか。
へへっ………、やっとそれらしくなってきたぜ!
目を開ける。
すると、そこには目に涙をためたエミルがいた。
ふっ、予想通りだ。
「カイト……、良かった。頭を強く打ってもう帰ってこないかと思っちゃった……。」
「心配するな。大丈夫だ。」
少々想像を膨らませすぎな気がするが、それも俺を心配してくれてるってことだろう。
優しい幼なじみをもって俺は幸せだ。
まあ、主人公の俺がこんなところでくたばるはずがない。俺がくたばったら………話終わっちゃうしな。
これを主人公補正と言う。
さて、体を起こすか。
壮大なファンタジーの始まりだ。
体を起こすと、そこには見たこともない世界が広がって………いなかった。さっきのグラウンドだった。
「何でだよ!!」
地面を殴る。くそう………。
「カ、カイト………?」
エミルが心配そうな顔でこっちを見る。
待て、言いたいことはわかる。
頭打ってラリってるわけじゃないぞ。決して。
「大丈夫。エミルが思ってるほど深刻じゃない。」
とりあえず大丈夫であることをアピールするため、その辺を走り回る。
「もう……、心配したよ。」
ようやくエミルに安堵の色が。
やれやれ、余計な心配かけちまったか。
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