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昼下がりの賑やかな公園。 暖かい太陽の光が降り注ぐ。 青々とした緑の芝生で遊ぶ親子、木製の優しいベンチに座るカップル。 見ているだけでも微笑ましい光景だ。 私は公園の中央にある美しい噴水の前で、絶えず聞こえる軽快な水音を聞きながら立っている。 と言っても、このなんとも素晴らしい午後のひと時をただ純粋に楽しんでいる訳ではない。 私は今、とある方に雇われて、とあるバイトをしているのだ。 バイトといっても難しいモノではない。 ただ適当な時間に、適当な場所で、適当な人に風船を渡す。 それだけ。 適当という言葉の意味に戸惑うかもしれないが、あなたの思った通りで間違いは無いと思う。 明日もここにいるかも知れないし、いないかも知れない。 どの時間に、どの場所に行くかは、まあ適当というわけだ。 今日は良い天気だったから、ここにしたってわけ。 しばらく目を閉じてみる。 闇の中を、噴水の奏でる美しい旋律が抜ける。 しばらくして目を開けてみる。 光の中、はしゃいで走り回る子ども達の声。 ここはお気に入りの場所になりそうだ。 ん。 若い女性が独り、木陰のベンチに座っている。 失礼かも知れないが、木陰で読書をするのが趣味、という風にも見えない。 容姿は美しいのだが、どちらかというと派手で、気取っているという印象だ。 こんな女性が木陰に独りでいる時は、よほど日焼けを嫌っているか、何か思い詰めている時なのだ。 そろそろ働くか。 私は女性に歩み寄る。 香水の匂い。 思った通りの女性のようだ。
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